彼と彼女の小さな冒険

雑記
10 /11 2007
夕方に祖母がお世話になっているデイサービスから、

風邪をひいているようなので、病院へ連れて行ってくださいと電話があった。

祖母の担当のお医者さんが、別のクリニックに入っているので、

そこへ行くといいでしょう、と。

忙しい母にかわって、わたしが迎えに行き、連れて行くことになった。

少し遠くのクリニックに行かないといけない。

体調の悪い祖母が長時間(といっても30分ぐらいのものだけど)車に

乗っていて大丈夫だろうか?と思った。

迎えに行ってみると、意外に元気で

「わしゃどこも悪うないにな。大袈裟にさわいで」なんて

ケロっとしている。

そうはいっても、微熱はあるし、咳やクシャミもある。

油断は出来ない。

祖母を助手席に乗せて、隣の街のクリニックまで連れて行った。


担当のお医者さんによると、やはりどうやら風邪らしい。

薬を隣の薬局でもらい、帰ることにした。


89歳の祖母は認知症だ。

以前は本当にひどくなってしまい、家族も世話をしきれない段階まで

きてしまったこともあるけど、担当のお医者さんをかわってもらったり

治療を今までと変えたらびっくりするほどによくなった。

今は、もうよそに行ったらとても認知症だとは思われないほどに

元気になっている・・・・のだけど、これが正気といえばそうでもなく、

やはり家族は大変な思いをしている。

特に、家に帰れば不機嫌そうで、イライラして喚き叫ぶこともある。


そんな状態だから、何となく真っ直ぐ家に帰る気がしなかった。

一番負担が大きく圧し掛かっているのは母だし、

どうせ家で喚き叫ぶなら、車の中で叫んでもいいや・・・・と思って

ちょっと遠回りして帰ることにした。

「病気の年寄りを連れまわして」と言われればそれまでだけど、

何より本人が元気そうで、寒くないように気をつけてあげれば

大丈夫だろう、と判断した。

それに、車の免許をとってから祖母と二人っきりのドライブなんて

なかったし、これからもそうそう機会があるわけでもない。

ましてや遠出するなんてことは、多分めったにないだろう。

海辺の道路なんてのも、ドライブにはおあつらえ向きじゃないか。

恐らく祖母はこの道を何年も・・・・下手をすると10年以上通っていないかもしれない。


海岸の道。防砂林の松林が見える道を走った。

数年前にエキスポが行われた公園。エキスポのあとのタワー。

遠くに風車の見える展望台。打ち寄せる波うちぎわ。

漁港にフェリー乗り場、空港。

とにかく、色々なものを見せてあげたかったから。

家に帰るのが遅くなるから、不機嫌になるかもしれない・・・・なんて

思っていたけど、それは杞憂に終わったようだ。

車から見える景色に祖母は興奮していた。

きれいだなあ、とよろこんでいた。

初めて見るものも、確かにあったんだろうけれど、恐らく何度目かに

見るものに対しても、楽しそうな表情で見ていた。

もしかしたら記憶がなくなっちゃったから?

少し複雑な気分になりながらも、少女のように楽しんでいる祖母の

笑顔が何だかうれしかった。


その日の祖母は、家に帰りついても心なしかいつもより不機嫌では

ないように見えた・・・・。まあ、やっぱりイライラして喚き叫んだりしたけど。

恐らく認知症はこれからも進行していくにちがいない。

だからこそ、楽しめるうちに色々なものを見せてあげたい。

忙しかった母にかわって、わたしや姉と兄の面倒を見てくれた祖母だから、

こんな形でもおばあちゃん孝行が出来たら・・・・と思う。
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コメント

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いい時間

家で介護をするのってすごく気力と体力のいることで
私の母も何度も負けそうになりながら祖母との時間を過ごしていました

私はもっと祖母との時間を作れば良かった、と今は思います

ドライブの時間、いい時間でしたね
無理に作らず、自然に出来た時間だからこそ
Kazuccineさんの優しさを感じました

孫力

kazuccineくんの、おばぁ様への気持ち、じんわり暖かくなると同時に、ちょっと涙が出ました。(うちのばぁちゃんもドライブが好きだったなぁ・・・)
笑顔を見てるだけで、うれしくなりますよね。
それも立派なばぁちゃん孝行ですよ。
世の中“孫力”っていうけど・・・孫にしかできないことってあると思うよ。
やっぱり、ちょっぴり、羨ましい。(笑)

rumさんへ

介護って本当に重たい問題ですよね。
どこの家でもみなさん大変な思いをされていると思います。
そう、無理な時間ではなく、本当に自然に出来た時間だから
わたしも祖母も本当に楽しく過ごせました。

macunへ

孫力かあ・・・・。いい言葉かも。笑
何か「老人力」に似た言葉ですね。
お年よりって意外にドライブとか遠出が好きな人多いかも。
うちの祖母はどちらかというと、外出嫌いなタイプでしたけど
こないだは本当に楽しそうでした。

和江さん

30代シスジェンダー(?)ゲイ。

日本の片隅にひっそりと暮らしている。
お仕事は福祉系。


マドンナが大好き。


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