愛は理解しあうこと
性的な内容なかなかわたしの恋愛や性について、職場のKくんに理解してもらえない。
「男が好きなのが理解出来ない」ってことはないのだが、
わたしが今までしてきた恋愛やセックスに関することが
Kくんの感覚だとどうもおかしいらしい。
「正直理解に苦しみますよ。ちょっと軽蔑しました」
なんて一言も言われてしまった。
Kくんはかなりきつい。っていうかひどいことも言う。
じゃあ、彼がひどいやつなのかっていうと決してそうじゃなくて、
例えばわたしがため息をついていると、すぐに
「一体どうしたんですか?何かあったんですか?」って訊いてくれたり、
ドライブに誘ってくれたりする。
彼は本質的にはすごく優しい人だと思う。だからわたしは彼のことが大好きだ。
彼がどうしても理解出来ないのが、わたしが「よく知らない人」と簡単に
セックスしちゃうことらしい。
こんなん言ったらアレなんだけど、ゲイの中ではよく会ってその日のうちに
セックスして、ハイさようならなんてことはごく普通のことだ。
あ、言っとくけど「そんなことないぞ!」って思うゲイもたくさんいることは承知ですから。
つき合った人とじゃないとセックス出来ないって考えてるゲイも、たくさんいる。
でも、何だかんだ言ったってゲイのセックスに対するハードルは
ノンケのそれよりはるかに低いと思うのだ。
「ハッテンバ」なんてノンケの世界ではないだろう。
(あるかもしれんが、かなりマニアックな趣味の人向けじゃないかな)
わたしはハッテンバには行ったことないし、長い間元彼と
つき合っていたこともあって、セックス体験はそんなに多い方じゃない。
それでも、両手を使って数えれる人数ははるかに越えている。
そこらへん、ゲイに関して全く無知のノンケKくんには理解不能なのだ。
わたしに言わせれば、オッパブやヘルスに何回も行ったことあるKくんに
「軽蔑する」なんて一言は言われたくないのだが。
それにしても、ノンケ男って「風俗に何回も行った」ってことは平気で言うのに、
「セックスフレンドが何人もいた」なんてあんまし言わないよね。
Kくんに言わせれば、お金を払ってセックスする風俗と、遊びで誰かとセックスするのは
全然違うことだし、それだったら風俗の方がマシってことだそうだ。
ここらへんの感覚は、むしろわたしには理解出来ない。
ゲイの気持ちはゲイにしかわからない。
そして、ノンケの気持ちはノンケにしかわからないのかも。
ノンケ同士だって、男と女ってのはどうも理解しあえないらしい。
「男と女はいつまでも理解しあえない」
「人間同士、いつかきっと理解できる」
どっちも正解だと思うし、どっちも間違いでもある気がする。
ただ、「理解出来ない」で投げ出しちゃうのも、「理解できる」ってタカを括っちゃうのも
どちらも危険なことだろうなってのは思うのだ。
男と女、ゲイやノンケってくくりがなくても、そもそも他者を理解するのは難しい。
だからこそ、少しでも理解しあえたとき、すっごくうれしかったりもするわけだし。
だからこそ、わたしはKくんのことも理解したいし、わたしの気持ちも
理解して欲しいって強く願いつづけている。
大好きな人だからこそ、そう願うのだ。
それにしても、ゲイに関してはまったく知らないKくんだけれど
そのぶん本質をついた一言も言っちゃったりもする。
「Kazuccineさんは、結局『都合のいい相手』にしかなれないですよ」
この言葉はひどく堪えた。
だって、実際にそうだと思うから。
「相手は都合のいい人しか求めてないの、わかってるんでしょ?
わかってて関係してるんでしょ?それで好きになったとしても、
相手に好きになって欲しいなんておかしいと思いませんか?」
はい、おっしゃるとおりでございます。
こんなきついこと言われた日の夜、
「言い過ぎてごめんなさい」っていうメールがきた。
強気のKくんにしちゃ珍しい内容だったから、逆に心配になった。
「どうしたの?」って返信したら、
「『スマイル』ってドラマ見てたら、人に優しくしなきゃって思ったんです」
とのこと。
ドラマに感化されて、急に優しくなるとは!
あきれる反面、何だかKくんらしくて好きなんだよね。